OECDが開発したPSE(生産者支持推定量)手法を、インド、タイなどアジア6カ国に当てはめ、最近20年の農業保護政策の変容を数量的に分析した。推定結果から、(1)これら諸国の生産者保護水準は低く、台湾を除き+-10%程度に収まる、(2)先進国と異なり保護が負になることも多い。(3)90年代の財政危機による為替変動と2008年の国際価格高騰が水準に影響。(4)政策としては価格支持政策が最も大きな影響を与えているが、市場には中立的。(5)タイやインドなどでは、生産者への直接移転より一般公的サービスによる農業部門の支援が大きい。(6)予想された農業課税から農業保護への移行、あるいはWTO などの農政改革への影響は明確には認められなかった。
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