| 研究概要 |
カリフォルニア州における現地調査を中心に研究を進めた.カリフォルニア州サウスバレー地域において展開している大規模酪農経営の状況とその背景を調査するため,カリフォルニア大学農業改良普及センター,カリフォルニア大学獣医学教育研究センター,カリフォルニア乳牛検査協会,カリフォルニア州食料農業省を訪問し,各機関の組織体制や役割,酪農経営との連携について聞き取り調査をおこなった.また,大規模酪農経営の実態を調査するため大規模酪農場6,育成農場1,肉牛肥育農場1を訪問し,農場設備,経営状態,支援機関・企業との関わりについて聞き取り調査をおこなった.さらに同州チュラーレで開催される世界農業博覧会を訪問し,世界的乳価下落に関するセミナーに参加するなど,酪農に関する情報収集をおこなった.
その結果,酪農メガファームの特徴として,乳牛飼養における群管理技術の発達,ミルキングパーラーによる搾乳技術の発達,広大な農場面積と温暖で乾燥した気候条件を背景とした簡易な牛舎設計,飼料生産部門のアウトソーシング,搾乳以外の飼養段階のアウトソーシング,TMR技術を背景とした農副産物の飼料使用によるコスト低減,糞尿処理施設への投資が,加えて,そのような酪農技術の一部はロサンゼルス近郊の都市型酪農の技術を基礎として発達したこと明らかとなった.この中で特に注目されるのは,酪農場および育成牧場内での飼養管理作業がかなり細分化・単純化されているらしいことが明らかとなったことである.これまで酪農メガファームにおける分業体制については,飼料作のアウトソーシングと搾乳作業の専門化が指摘されていたが,その他の飼養管理部分については明らかになっていなかった.ただ,その詳細については,研究分担者の健康上の理由から本年度の調査が行えず,来年度実施とした.
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