研究概要 |
カリフォルニア州における現地調査を中心に研究を進めた.カリフォルニア州セントラルバレー地域において展開している大規模酪農経営の飼養管理の作業細分化・単純化について調査するため,大規模酪農経営を2農場訪問し,聞き取りをおこなった.酪農経営への飼養管理技術の情報提供についてフレスノ郡農業改良普及所を訪問し聞き取り調査をおこなった.農場訪問の打ち合わせ,次期アメリカ農業法の酪農政策に関する動向の情報収集のため,カリフォルニア州デイビス校を訪問した.農場の訪問を農場の労働力問題に関する現地での議論をフォローするため,カリフォルニア州立大学バークレー校を訪問し,研究者との情報交換を行った.カリフォルニア州における畜産の糞尿処理問題および環境規制に関する制度について情報収集するため,カリフォルニア州水資源管理局,同州セントラルバレー地域水道局を訪問し聞き取り調査をおこなった. その結果,搾乳頭数で2千頭規模の酪農経営でも,熟練や専門知識が必要とされる月給制で雇用される従業員は農場経営者のほかには数名しかいないこと,そのほかは熟練を必要としない作業に分割され,時間給で雇用されていることが明らかになった。熟練・専門知識を有する従業員が担当するのは,単純作業従業員の監督の他では次の作業である.牛の病気の発見,治療の監督,分娩の監督,交配の検討,飼料受け入れの際の検品,機械設備の点検,糞尿処理施設の点検である.分娩作業,子牛の世話もマニュアル化され,作業の単純化が実施されていることが明らかとなった.さらに作業のマニュアル化や管理・運営手順の確認・改定には外部の専門家が重要な役割を果たしていることが今回の調査で初めて明らかになった.
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