研究概要 |
農村に住む住民の景観・環境・生産要素に対する「価値」評価を、農業・農村振興計画に取り込んでいく手法の開発を目指した.都市近郊においても,中山間地域においても混住化が進んでいる農村において農業振興や環境づくり等を図っていくとき,住民の合意形成が得られないことが多い.この主な要因は,農村に住む農家・非農家または年齢・性別等によって,農業と農村に住むことへの認識が異なるためである.農民や農業集落の住民は,農地,農業施設や景観を日常的に見ている.しかも居住している環境の中に農林業生産活動がある.そうした集落住民が地域についての「価値」を会計的に説明する手段としての「地域環境会計」必要な調査研究をした.地域によってきわめて多様な「環境会計的測定」をそれぞれの地域の住民の「認識」の実態に即した測定として,住民の側から,より確定的な測定が可能となる手法を明らかにした. 農業・農村景観は昔から人が作ってきたもので,良い景観も創ることができる,しかし維持できなければ壊れていく.農業・農村の多面的機能(特に景観)と農業生産活動との関連評価について金沢市の中山間地農業集落を事例として,農業生産活動に影響を及ぼす景観とその保全活動,農民・農家は集落景観から影響を受けるか・景観を作るか,農民は農業基盤の崩壊にどこまで耐えられるかを調査研究した. 調査のモデルは,以下のようにした.(1)関心・集落の景観・農業・生活(2)動機・農村景観の守る活動に参加したいか(3)知識・「不室の里宣言」,米価,ため池・水路・農道の維持管理の重要性(4)危機感・農村が守れますか?(5)責任感・集落と農業を残したいか?(6)有効感・ため池・水路,農道,畦畔への維持管理への自分の行動の評価,である.
|