研究課題/領域番号 |
20580247
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研究機関 | 共栄大学 |
研究代表者 |
中村 哲也 共栄大学, 国際経営学部, 准教授 (80364876)
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研究分担者 |
丸山 敦史 千葉大学, 大学院・園芸学科研究科, 准教授 (90292672)
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キーワード | 多項ロジット分析 / コンジョイント分析 / とちおとめ / 巨峰 / 香港 / シンガポール / 農産物輸出 / 消費実態調査 |
研究概要 |
本研究では、わが国における生鮮果実・果実加工品の海外販路を拡大させることを目標とし、海外でのアンケートを中心としたフィールド・リサーチ、海外の統計データを使用した計量的・実証的分析によって、今後における生鮮果実の海外販路拡大の方向性を検討した。その結果、下記の諸点が明らかにされた。 まず、栃木産巨峰のシンガポールでの消費者評価について考察した。その結果、同地では日本産ブドウの評価は非常に高いが、栃木産巨峰の低価格性が求められた。ただし、日本人客の多い同店のようなケースでは、安価なオーストラリア産と高価な日本産巨峰の棲み分けができており、現地での味覚や安全性の拘りに対しても日本人とは差異が認められた。そして、巨峰自体の評価は非常に高いといえる。そのため、今後の輸出は、早急に価格改定するというよりは、脱粒・茎枯れしないといった鮮度の向上や種なし巨峰販売といった手法で、ターゲットとする販売層(消費者層)を明確に意識したマーケティング活動が不可欠となるだろう。 次に、栃木産とちおとめの香港での消費者評価を考察した。同産とちおとめを福岡産あまおうと比較した場合、前年の輸出では小果実であったため、本年の調査では大果実にした。しかし、とちおとめの品質特性である果皮の柔らかさにより痛みが生じ、また形も不揃いであったため、香港人からの評価は低かった。また、大果実販売であったため、価格を前年の58HKDから89HKDに改定したのだが、日本産最高値であったこともあり評価は得られなかった。ただし、コンジョイント分析の結果、国産イチゴの評価自体は非常に高く、とちおとめ本来の形、大きさ、価格に改定すれば、輸出の継続が見込まれた。 なお、栃木産巨峰・とちおとめ輸出、EUにおけるリンゴ消費実態調査、中国・台湾におけるリンゴ消費動向については、今年度も研究を継続する。
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