平成22年度の研究では、下記のことを明らかにした。 (1) 現地カリフォルニアでは、1920年代から30年代にかけての資料が極めて少ないが、平成22年度の研究は、北カリフォルニア各郡の20世紀初頭の土地所有者表については1890年代から1933年までのColusa郡、1927年から1936年までのButte郡について詳細(日本で言えば一筆ごとの)な土地所有者表を収集している。また「Granter」、「Grantee」リストから土地売買記録を確認している。これは前年度資料と同様に研究上未発県の資料である。 (2) 日本の移民送り出し地でも、移民の公的資料は少ないが、アメリカ移民の個人資料(出身地籍、移民前職業、渡航時の所持金等)を収集した。 (3) ヒアリングにより、カリフォルニア日本人移民最初の稲作経営者である野田音三郎の関係者を捜し出し、野田の業績に関する資料を収集した。 (4) 「北米農報」の原資料を収集した。これは未発見の資料である。 (5) 日本人移民稲作への資金提供者、土地所有者の関係を明らかにした。 (6) 稲作資金借り入れは当初は個人からだったが会社や銀行からの借り入れに転化した時期と内容を明らかしえた。 (7) 日本人移民稲作発祥地の地番と土地所有者、資金提供者、その後の土地所有者との関係、資金提供者との関係などに付き、1910年代から30年代について資料を収集した。 (8) 1920年代から30年代の日本人移民稲作への土地提供者である「Moulton Land Company」、「P.B.Cross」、「J.W.Browning」、「Richvale Land Company」などの稲作地の確定と土地貸借関係についての資料を収集した。 (9) Butte郡の「登記事務所」、「課税事務所」、「登記申請代行会社」(司法書士事務所)の保管する資料の調査方法と整合性を明らかにした。
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