大正・昭和期の農業史・農学論を中心として、関係する文献の収集に努めた。2010年2月21~23日、連携研究者2名とともに東北地方を調査し、昭和期の農業に関する考え方などを農家より聞き取りをした。同年3月16~17日に東京農業大学図書館を調査し、大正・昭和期の卒業論文を調査した。 これまでの研究成果に関して、2009年8月12~13日に中国自然科学史博物館(北京)における「東アジア農業史シンポジウム」で日本農法・日本農学について報告し、内容は2010年3月に中国語で刊行された。同年9月12日、関西農業史研究会の300回記念例会で、「現代日本農法論の構築に向けて」を報告した。同年10月24日の広島大学における史学研究会において、「日本における農法の改良と持続」のテーマで大会報告をした。これは、『史学研究』第268号(2010.6)に掲載予定である。 これらをもとに、『大経大論集』第61巻1号(2010.5)に研究ノート「東アジア農業を比較史的にどう見るのか-日本農学原論のための予備的考察-」を執筆し、刊行された。そこでは、農法が農藝・農術・農事の重合的関係にある。農藝は、生と死の絶対的矛盾のもとで、いのちといのりが重視される。農術は、マクロ的・ミクロ的風土技術と養育技術からなり、生態均衡系でバランスを取っている。農事は農家・農業経営・農業政策などの社会的関係であり、作付方式が指標となるとを述べた。 引き続き研究ノート(2)の執筆のために努力した。
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