研究概要 |
1. 現地頭首工の調査と解析多摩川の宿河原堰ほか諸堰と, 木曽川犬山頭首工, 鬼怒州勝瓜頭首工ほかのいくつかの堰について堆砂・洗掘問題の現地調査を実施した。昭和49年に大きな災害を引き起こした旧宿河原堰と, 犬山・勝瓜両頭首工においては, 堰の設置後, 上下流区間の河床低下の影響が堰下流の局所的な深掘れを引き起こして, 堰の安全上, 大きな問題になったことがわかった。全面可動堰になった現宿河原堰において, 平成19年洪水によって堰の上流護床工が流亡する災害が発生し, その発生メカニズムの解明が大きな課題であることが判明した。 2. 水路実験による検討(1)堰下流の局所洗掘の範囲と深さが河床高との高低差によってどういう違いを見せるか, 本補助金によって購入したレーザ砂面計によって詳細測量を実施し, 実態を明らかにするとともに, (2)通水中の表面浮子のビデオ撮影と動画解析によって, 発生メカニズムの解明を進めた。その結果, 単に, 堰と河床高の高低差によって深掘れの大きさが決定されるのではなく, 河床の砂礫堆形状との位置関係が重要であり, 砂礫堆形成に伴って生じる, 洪水時の流れが集中し高速域になる領域付近に堰を設置した場合に, 堰下流の深掘れ範囲と深さが最も増大することが明らかになった。 ついで, 堰下流に2種類の護床工(階段工と斜路工)を設置して, その災害防止効果について実験的な検討をすすめた。いずれの護床工も効果を発揮したが, 階段式護床工は局所洗掘を4割程度も軽減させ, 有効な災害防止対策となることを明らかにした。
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