研究概要 |
頭首工周辺の堆砂・洗掘問題についての解析を進めるため,多摩川や鬼怒川の諸頭首工における問題点と解明の必要な課題を把握したうえで,水路模型実験を中心に研究を進めた.今年度取り組んだ実験の目的と内容は,大きく3つに分けられ,それぞれ以下のような成果が得られた. 1.堰下流河床局所洗掘に対する護床工の軽減効果の検討 平成20年度に実施した階段工と斜路工に加えて,深さと長さを違えた3種類の護床工について河床洗掘軽減の効果を,水路実験によって検討した.その結果,2段式の階段工においてその効果が最も安定して高いことが明らかになった.そのさい,本年購入したグリーンレーザーシート照射装置によって,堰下流水叩きを越流し,護床工に落下する流れの流況を詳細に観察して,実験結果の解析を進めた. 2.堰上流護床工の災害発生メカニズムの解明 平成19年9月に発生した多摩川宿河原堰上流護床工の流亡災害について,水路模型実験によって発生メカニズムを検討した.砂礫堆と堰との相対的な位置が,発生の有無を決める大きな要素になっており,洪水主流の集中部が堰を越える位置にあることと,上流の淵から斜め上方に向かってくる流れによって護床工が持ち上げられることによってめくれ上がるように流亡する実態が明らかになった. 3.複合堰が砂礫堆形状と蛇行流況に与える影響 堰が固定堰と可動堰で構成された複合堰(鬼怒川勝瓜頭首工などの基本モデル)は,堰上下流の砂礫堆形状を変形させ,蛇行流況を変化させることになる.その場合,堰と砂礫堆との位置関係によって変形・変化の状況がどのように異なってくるかが,水路模型実験によって明らかになった.
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