棚田では全国初の名勝指定地である長野県千曲市姨捨地区を対象に、未整備の棚田における畦畔法面の除草管理作業の省力・軽減化方策を検討した。 2010(H22)年度は、これまで実施した調査結果をとりまとめ総合的検討を加え作業環境の簡易的軽微な整備手法について(1)技術的条件と(2)計画的条件を提示した。 すなわち、(1)技術的には、出来るだけ管理を省力化する植生に転換してゆくためにも、最低でも法先への小段設置による作業環境の改善が必要とした。具体的には、大きな改変を伴わず、景観に配慮し、コンクリートブロックなどを用いない自然素材(土羽・丸太)によるものとし、特に動力刈払機でのキックバックが生じにくい土羽がより望ましい。また、小段幅は300~500mmがよいとした。 (2)計画的条件としては、文化財保護法による現状変更に制限のある名勝地域においては、軽微な変更として扱われる形での整備が望ましい。そこで事前に、保存管理計画において要整備区域の設定など、地区区分が必要である。当該地域では、そうした区分がなされ、現状変更に関しても独自に「取り扱い基準」を定めていた。さらに、これら小段の必要性を検討する場としての委員会を地元が有していたことが評価できた。 なお、対象地域全域へのこれら技術の普及展開においては、さらに、小段設置箇所の選定、個々の景観評価と実施計画を伴う協議が必要である。
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