研究概要 |
本研究は,軟弱地盤上に施工された農業土木構造物(干拓堤防など)の維持管理を目的とした最適設計に関するものである.軟弱地盤上の構造物は,改修等で載荷が生じた場合.長期の圧密沈下を起こすことが予想される.特に,長期残留沈下の予測を適切に行うことは非常に重要である.ここでは,長期残留沈下予測を適切に行う簡便な手法を開発しようとし,これに基づいて,供用期間内のライフサイクルコスト最小化に基づく最適設計問題を信頼性設計理論の立場から議論しようとするものである. 平成20年度は,次の2課題について検討を行った. (1)「粘性土のひずみ速度依存性のモデル化」を目的とした定圧・定ひずみ速度両用連結型圧密試験装置の開発 今回開発した圧密セルは,連結されており,間隙水がセル間を行き来し,末端のセルが排水面もしくは非排水面となる構造を持っている.連結数は,定圧試験で5連結が可能であり,定ひずみ試験では2連結である.この試験装置の特色は,圧密中の試料内部の間隙水圧やひずみ分布を知ることができることである.試験装置は,定圧載荷,定ひずみ速度載荷のどちらの制御にも対応できる構造となっている.定圧試験は,現地における圧密載荷を模擬する目的で実施する.また,定ひずみ速度試験は,ひずみ速度依存性挙動をモデル化するために用いる.前者の載荷には空気圧制御装置(既存),後者の試験にはACサーボモーター方式載荷装置(既存)を用いる型式である. (2)逆解析手法を利用した粘性土地盤の変形予測法の開発 軟弱地盤の変形予測法の開発を行った.今回は,従来から使用してきた最小二乗法に加えて,粒子フィルターを利用する方法を開発した.これによって,実測値から圧密挙動の予測に必要なパラメータを同定し,予測を行うことが可能である.今回は,解析法の適用性を二次元の模型実験装置を用いて得たデータに基づき検証した.
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