研究概要 |
本年度は,TDRに基づく境界面の位置計測法の開発を中心に研究を進めた.実験用カラムに模擬的に水中の堆砂層を設定し,TDRプローブを設置して,パルスの伝播波形を調べた.その波形から堆砂表面位を算出するために,2種の評価法を考えた.すなわち,水中部の伝播波形から算出する部分伝播法と,水中と堆砂層の全伝播波形から算出する全伝播法である.これらの方法について精度を調べた結果,いずれの方法も有用であることが認められた.さらに,TDRによる堆砂表面位と電気伝導度の同時計測を試みた.水の電気伝導度は堆砂表面位とプローブ周囲の電気伝導度から推定した.結果として,堆砂表面位は全伝播法より部分伝播法の方が高い精度を示した.また,この方法を一般の河川に適用する際,エネルギー損失理論に基づけば,計測可能なロッド最大長は4mであることが明らかにした.以上に加えて次の研究も行った.すなわち,(1)静電容量式土壌水分センサーの校正に対する電気伝導度の影響について検討を行い,校正の精度を高めるため3点校正法を提案し,これが電気伝導度の影響の補正に有効かつ簡便な方法であることを認めた,(2)テフロン被覆TDRプローブを用いた粘性土壌の水分と電気伝導度の同時計測を行い,このセンサーを用いるとカオリナイトのような高電気伝導度性の土壌でも誘電率と含水率との関係が得られることを明らかにした.
|