コンクリートのアルカリシリカ反応(ASR)抑制対策は、農業土木構造物コンクリート、とりわけコンクリート二次製品の耐久性能を検討するうえで重要な課題である。本研究においては、より汎用性のある、特にコンクリート二次製品に対して有効な促進養生によるASR抑制対策に着想し検討を行った。すなわち、促進養生によって早期にC-S-H系水和物を生成させ、これによりコンクリート中の遊離アルカリを吸着、固定し、後に生じると考えられるASRを押さえ込もうとする手法である。 昨年度の研究において、促進養生による効果に併せてアモルファスシリカであるガラスパウダーを混和材として併用することにより、より高い抑制効果が期待されることが明らかとなった。 具体的には、オパール石のペシマム混入率である5%混入したものとガラスカレットのペシマム粒度である2mm程度を30%混入したものを反応性骨材として利用し、60℃で4時間の促進養生を行った場合に抑制効果が見られた。これに、さらにガラスパウダーを混和材として使用し、促進養生を施すとより高い抑制効果が見られた。 特に、オパール石に対しては10%以下のわずかなガラスパウダーの混入であっても完全にASRを抑制することが明らかとなった。ガラスカレットに対しては20%以上の混入率で著しい抑制効果が見られた。 今後の課題として、促進養生による効果とアモルファスシリカによる効果の発現の違いについて明確にしていく必要があると考えられる。
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