|
コンクリートのアルカリシリカ反応(ASR)抑制対策は、農業土木構造物コンクリート、とりわけコンクリート二次製品の耐久性能を検討するうえで重要な課題である。本研究においては、より汎用性のある、特にコンクリート二次製品に対して有効な促進養生によるASR抑制対策に着想し検討を行った。すなわち、促進養生によって早期にC-S-H系水和物を生成させ、これによりコンクリート中の遊離アルカリを吸着、固定し、後に生じると考えられるASRを押さえ込もうとする手法である。
過年度の研究により、促進養生を行った場合のASR抑制効果、およびアモルファスシリカであるガラスパウダーを混和材として併用することにより、より高い抑制効果が期待されることが明らかとなった。
昨年度の研究ではこの2つの効果を組み合わせより有効なASR抑制の検討を実施した。さらに、ASR抑制に働くC-S-H系水和物の生成を確認することと、コンクリート二次製品としての強度発現の実態を明らかにするために、強度についても追跡を行った。
促進養生とアモルファスシリカであるガラスパウダーを混和材として併用することによる高いASR抑制効果は確認できたが、C-S-H系水和物の生成による強度の早期発現については、明確な結論を得ることができなかった。
今後、化学分析手法を用いたC-S-H系水和物の生成の検証が課題として残された。
|
