研究概要 |
本研究は,流通手段や経路など様々な流通条件に対応した青果物の品質変化を予測するシステムを構築し,品質保持,品質保障,品質に関わる情報提供,また流通の合理化などに資することを目的としている。すなわち,青果物の呼吸モデルと蒸散モデル,包装資材のガス透過性,および流通時の温湿度データに基づき,流通中における青果物の積算呼吸量と積算水分損失量を計算し,積算呼吸量ならびに積算水分損失量と品質変化との関係を確立することと併せて,品質低下を予測するシステムを開発しようとする。 一定時間間隔で記録された外気の温湿度データをもとに,包装内の酸素,二酸化炭素,窒素,水蒸気の体積変化および積算呼吸量と積算水分損失量を計算する拡散・準定常計算のシミュレーション・プログラムを作成した。また,プログラムによる計算結果を検証するため,温湿度を変化させた一定規模の室内実験により,包装資材内の酸素,二酸化炭素,窒素および水蒸気濃度の変化およびカンキツの水分損失量を測定した。これらの結果は良好で,次のステップ(拡散・対流・準定常計算)に進行し研究を完成させるために重要な意義を持っている。現在,論文として公表するための準備を進めている。 一方,シミュレーションにより計算される積算呼吸量および積算水分損失量と品質変化との関係を確立するため,カンキツ(ウンシュウミカン,清見タンゴール)を対象に実験を実施した。すなわち,温度を一定にした保冷庫において,デシケータと飽和塩水溶液による温湿度が一定の環境を設定し,カンキツの積算呼吸量と糖および酸含有量との関係,積算水分損失量と果実硬度との関係を測定した。これらの結果は,現在分析中であるが,平成21年6月の学会で発表する予定である。
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