研究概要 |
本研究は,青果物の呼吸モデルと蒸散モデル,包装資材のガス透過性,および流通時の温湿度データに基づいて,流通中における青果物の積算呼吸量と積算水分損失量を計算し,積算呼吸量ならびに積算水分損失量と品質変化との関係から,品質低下を予測するシステムを開発しようとするものである。 一定時間間隔で記録された外気の温湿度データをもとに,包装内の酸素,二酸化炭素,窒素,水蒸気の体積変化および積算呼吸量と積算水分損失量を計算する拡散・準定常計算のシミュレーション・プログラムと実験による検証結果を平成20年6月の学会で発表した。また,本プログラムにおける有孔部の有効ガス透過度を補正し,拡散・対流・準定常計算のプログラムに発展させた。現在は論文の執筆中である。 また,カンキツ(ウンシュウミカン,清見タンゴール)における実験期間中の糖,酸含有量,果実硬度の変化と,これらの指標と積算呼吸量および積算水分損失量との関係について平成21年6月の学会で発表した。 一方,シミュレーションにより計算される積算呼吸量および積算水分損失量と品質変化との関係を他のカンキツにも拡大するため,イヨカンを対象に実験を実施した。すなわち,9種類の温・湿度条件下における1ヶ月間の糖および酸含有量の変化と果実硬度の変化を測定し,積算呼吸量と糖および酸含有量の関係,また積算水分損失量と果実硬度との関係を調べた。この結果は現在分析中であるが,これまでのウンシュウミカンと清見タンゴールにおける実験結果と併せて,積算呼吸量と積算水分損失量との関係を詳細に検討し,平成22年9月の学会で発表する予定である。
|