流動層に市販のセラミックス(2mmφ、ゼータ電位:-10mV)を挿入し、界面動電処理装置(塩ビ製)を用いて、循環時間を変えて培養液の物性値の測定を行った。春期と夏期において各3回調べたところ、水中のイオンに微量ながら変化が現れ、pHは原水7.1~7.3に対し、60分処理で弱アルカリ(pH7.9~8.2)を示した。ECの変化は微小であるが、溶存酸素濃度は増加した。また酸化還元反応の速度は大であり、さらに動粘度も0.002~0.005cSt程変化した。水の状態変化の特性をイオン化の点から把握するため、水中の各イオン量をモル濃度に換算し、アニオン量とカチオン量に分けて調べたところ、原水の総イオン量は夏期≧春期であり、循環処理により夏期、春期とも総イオン量は微量に増加した。一方、夏期ではカチオン量の増加に対し、アニオン量は減少傾向を示した。また処理経過後ORP値は減少し、230mv前後で安定した。流動実験ではpHもORPも上昇する結果が得られたが、これはOHやHO_2^-の生成反応によるものと考察された。処理後の還元反応速度は速いことが確認された。界面動電処理による物性への作用効果を精密に調べるため、処理前後の構造状態を熱刺激・脱分極電流-温度測定法(TSDC)で評価した。その結果、イオン交換水、培養液とも界面動電処理により処理前に比べ緩和ピーク温度は高温側にシフトした。また^1H-NMRによる水の状態評価を行ったところ、処理前に比べ処理後では低磁場にピーク成分が出現した。これより、界面動電処理法は、水溶液に対してより水素結合性が強く、水分子の運動性が拘束された状態にシフトすることが検証された。
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