研究概要 |
本研究の目的は,鳥取砂丘の地下水位分布を明らかにすることで,自然文化財的価値の高い砂丘内の湧水(オアシス)の発生メカニズムを解明することにある。鳥取砂丘は海岸砂丘の典型として,一部が天然記念物,及び国立公園特別保護地区に指定さており,砂丘内の自然環境に人爲的な影響が生じないよう厳しく管理されている。そのため,地下水位を観測するための井戸等の人工物の設置や大型測器による地下水位探査が事実上不可能である。そこで本研究では,地下水が流動する際に発する微少な音波を地表面から簡易に集音し,砂丘内の地下水分布を明らかにすることで,砂丘内のオアシス発生メカニズムを解明することを具体的な目的としている。平成21年度は,20年度までの成果を利用して.地下流水音の音圧から地下水位を推定することを目的と,また,鳥取砂丘内の地質堆積状況と地下流水音との関係を明らかにすることを目的として研究を行った。 その結果,砂地地盤においては地下流水音を用いることで約15mの深さまで地下水位を推定可能になった。また,砂丘オアシス周辺域の2次元比抵抗映像法による地質探査および地下氷面探査を行った結果,火山灰層の分布状態が判明し,この難透水層が地下水境界になっていることが明らかになった。
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