研究概要 |
恒温室,自動灌水装置(自作),照明装置(自作)により温度(昼24℃,夜20℃),湿度(昼50-60%,夜80-90%),光量(鉢面で15,0001x)を制御した環境を構築した。この環境でミニトマトの茎部に複数のAEセンサー,径ゲージ(圧力センサを使用),圧電発音体を取り付け,土壌水分計,水ポテンシャル測定器を使用することにより,AE,木部の負圧,土壌水分,茎部の音速などを長期間(1週間〜1ヶ月)測定した。その結果,乾燥ストレスの増大に伴い,昼と夜の木部の負圧変動によるAE発生比が増加を始め,次に茎部の音速が増加してった。とれは,乾燥ストレスの増大によるエンボリズム密度の増加に対応していると考えられた。レかし,昼夜の乾燥ストレスの変動は灌水量や土壌水分により大きく変化するため,エンボリズム密度の相対評価を行うためにはこれらを考慮した解析が必要であるこが判明した。 ミニトマト茎部にAEセンサーと径ゲージを組み合わせたクリップ型測定プローブを複数取り付け,AE,木部の負圧変動,水ポテンシャル,土壌水分などの測定を行った。そして,茎部の締付,切断により局所的に通水抵抗を増加させ,締め付け点上下の木部の負圧を一時的に変動させてAE測定を行った。その結果,茎部の締付けた場合,木部の負圧の変動は生じたものの変動量が小さく(0.1kPa以下),エンボリズム密度を推定する事は困難であった。一方,茎部の切断の場合は,乾燥ストレスと切断前後のAE発生比に明確な相関が認められた。また,葉柄においても同様な傾向が認められた。葉柄の切断であれば植物に与える損傷は大幅に低減できるが,葉柄におけるAE測定はSIN比が低いことが課題であり,今後,木部の負圧変動をより増幅させるかセンサの感度を向上する必要があることが明らかとなった。
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