研究概要 |
高分解能衛星画像とデジタルカメラを用いて3次元森林樹冠地図を作成するために,以下の項目を実施した。 1.樹木を3次元計測するために,視野角180度のデジタルカメラによるステレオ視の画像計測技術を開発した。この技術では,上向きの魚眼レンズを水平回転台に取り付け,ステレオ撮影する。回転角度毎に撮影した画像を組み合わせて最適なステレオペアを構成し,3次元座標を求める。魚眼レンズで撮影した画像は,通常の画像と異なり,中心から半径方向に円周状に写り込むため,画像の画素位置と実際の3次元座標の対応関係を数式でモデル化した。2枚の撮影画像中の同一対象点の画素位置とカメラの相対距離から2本の直線の交点を求め,3次元座標を算出した。室内実験を行い,ステレオ視による3次元座標の算出精度を検証した。 2.高分解能衛星データ,地上計測データと魚眼撮影画像を融合して3次元森林樹冠地図を可視化するシステムを構築した。高分解能衛星データから単木レベルの樹冠領域を抽出し,地上計測データから作成した樹冠投影図と高精度な重ね合わせを行った。コンピュータグラフィックス技術を使って樹木の立体モデルを作成し,個々の樹木の位置,形,大きさに対応する衛星データと地上撮影の魚眼画像を貼り付けた。衛星データと現地調査による地上計測データを可視化したこの森林地理情報システムは森林管理での活用が期待される。 来年度は,魚眼カメラを使った撮影を継続的に実施し,季節変動データの収集および樹種のパターン分類を行い,撮影方法の改良にも取り組む予定である。
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