パルマハムなどの無塩漬食肉製品で特異的に形成される亜鉛プロトポルフィリンIXについて、その形域メカニズムの解明とその応用法について検討した。 メカニズム解明について、我々の構築したモデル実験系により、豚肉中のZPP形成に寄与する成分の探索を行った。豚肉の水溶性面分をグルろ過により分離したものと、豚肉の水抽出残渣を混合して保持したところ、ヘムを含有するミオグロビンではなく、ある筋漿タンパク質と水抽出残渣との混合により、ZPPが形成することが示さ、ヘム(ポルフィリン)がなくてもZPPが形成される可能性が示された。 次に、パルマハムから水抽出可能なZPPをゲルろ過により分離したところ、単一ピークで溶出することができ、SDS-PAGEで分離されたバンドとZPPの蛍光強度との相関、ならびにMALDI-TOFMSとPMF法より、ある解糖系酵素であると同定することができた。今後は直接的な方法により結合性について検討する必要がある。水抽出不可能なZPPは界面活性剤による抽出では、ZPPが解離することが示され、分離法として望ましくないことが示された。尿素等の変性剤の使用により、ZPPを分解することなく、パルマハムの水抽出残渣を溶解することができ、水不溶性のZPPを分離できる可能性が示された。 また、食肉製品中のZPP形成を高める技術を検討したところ、我々がこれまで報告したようにpHがZPP形成ならびに色調改善に重要であることがサラミを用いた試験で明らかにした。さらに、pHを調製する酸の種類によっても、形成能は異なることが示され、酸の選択とpHの調製により、多くのZPPが形成されて色調の望ましい食肉製品の開発につながることが示唆された。
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