食肉の高品質化の中で呈味の向上に対する期待は大きいが、有効な情報は極めて不足している。本研究は、食肉高品質化のため、食肉呈味向上モデル家畜のグルタミン酸(Glu)及び関連アミノ酸の代謝メカニズムを解析し、次いでメカニズムを考慮した食餌栄養調節による高品質食肉の作出を目的とする。そこで飼料分枝アミノ酸(BCAA)、リジン(Lys)及びタンパク質(CP)量の調節により筋肉遊離Gluを増加させたモデル家畜のGlu合成・分解酵素の遺伝子発現及び活性の解析から筋肉Glu量の調節メカニズム等を検討した。飼料を10日間給与したブロイラー筋肉を供試し、新たに要求量(対照)に対してイソロイシン(Ile)単独添加飼料で筋肉Glu量の有意な増加を得た。この食肉は分析型官能評価により有意に高い評価を得た。基質量及び遺伝子発現、酵素活性による調節機構の検討によって、Ileによる調節に筋肉Glutaminase及びGlutamine dehydrogenaseは関与せず、Ile異化の第一段階、及びスクシニルCoA及びアセチルCoAを経てのGlu合成が影響することが明らかとなった。これは先の検討による高タンパク質食でのGlu調節機構とは異なるものであった。また低エネルギー及び低タンパク質条件では、低エネルギー条件のみで筋肉Gluが減少し、それにはLysine ketoglutarate reductase(LKR)が関与する可能性を明らかにした。これらの成果の一部は、British Poultry Science誌に論文が掲載され、別に1報を投稿中である。またAAAP Asian-Australian Animal Science Congress(ハノイ)及び日本畜産学会大会を合わせ計6件の研究発表を行った。
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