PPARγはリガンド依存性核内転写因子として脂肪細胞分化に大きな役割を果たしている。さらに、PPARγの合成リガンド投与は筋肉内の脂肪細胞数を増加させることが実験動物において報告されている。そこで本試験では、飼料として利用可能な様々な草類や食品製造副産物に含まれるPPARγ活性化因子の探索を行っている。PPARγのリガンド結合ドメインとGAL4のDNA結合ドメインからなるキメラタンパク質を合成するプラスミドを作成した。ウミホタルおよびウミシイタケ由来のルシフェラーゼ発現プラスミドと共にアフリカミドリザル腎臓由来培養細胞cV-1にトランスフェクトするDual-Luciferase Reporter Assay Systemを用い、飼料用食品製造副産物や各種草種より抽出したエタノール抽出物を1mg/1から100mg/1で添加し、リガンドアッセイを行った。酒粕、醤油粕および酢粕の抽出物は10mg/1からPPARγの転写活性を要量依存的に上昇させた。さらに、転写活性化能を示したものについては、3T3-L1脂肪前駆細胞を用い分化に及ぼす影響を検討した。3T3-L1脂肪前駆細胞をコンフルエント後(dayO)、2日間分化誘導処理を行い(day2)、その後8日間培養を行った。dayO-10にPPARγ転写活性化能を有する抽出物を様々な濃度で培地に添加すると、分化の指標であるグリセロール-3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GPDH)比活性とトリグリグリセリド量が用量依存的に上昇した。以上の結果から、これら副産物の抽出物にはPPARγの転写活性を促進するリガンドが含まれている事が示唆され、脂肪細胞分化を促進する事がわかった。
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