商業的な条件における長距離輸送に対する哺乳子牛の生理的反応について調べた。家畜市場で購買した生後21〜47日齢の交雑種哺乳子牛10頭を、家畜運搬車で、途中の休憩時間を含め、一般道29.2km、75分と高速道277.7km、244分の合計306.9km、7時間を、絶食・絶水条件で陸路輸送した。輸送直後と導入後1週間の新規環境馴致後に採血・心電図記録・検温を行い、血液サンプルについては内分泌学的および生化学的検査を実施した。その結果、輸送直後に、乳酸が高値傾向(P=0.08)、pHが有意な低値(P<0.001)を示し、トリヨードサイロニン、AST、遊離脂肪酸(いずれもP<0.05)、心拍数(P<0.01)が有意な高値を示した。また、ALTも高値傾向(P=0.06)を示した。これらのことから、商業的な長距離輸送条件下では、その過程で負荷される複合的なストレスにより、哺乳子牛の肝臓に負担がかかっていることが推察された。 また、実験的な条件として、輸送距離を50、100、150km、収容密度0.25、0.35、0.45m^2/頭の3水準ずつ設定し、ホルスタイン種雄子牛9頭、黒毛和種雄子牛3頭を供試して、供試牛を4頭ずつの3群に分け、輸送距離3水準とのラテン方格法による実験計画の1年目として、輸送距離3水準について中1週ずつの間隔を空けて(休養期間を設けて)3回反復して輸送実験を実施した。
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