研究概要 |
欧州の輸送時福祉基準の我が国の生体輸送条件への適用性を検証した。19頭の哺乳子牛(ホルスタイン種14頭(11-26日齢)と黒毛和種とホルスタイン種との交雑種5頭(13-45日齢))を体重と品種ができる限り均等になるように6群に分け、はじめの3群を逐次増加法により、割当床面積0.25,0.35,0.45 m2/頭に振り分け、1週間隔で50,100,150kmの順に輸送した。残りの3群については、逐次減少法により、割当床面積および輸送距離について逆の順番で輸送した。子牛の輸送中の行動(横臥頭数と向き替え回数)ならびに輸送後における健康状態(瑕疵と水様便の発症)を観察すると共に、輸送前後に採血を行い、生理的指標の濃度変化について検討した。輸送中の横臥および向き替えの発現と割当床面積との間に関連がみられたが、それらの行動発現と輸送距離との関連は認められなかった。輸送による瑕疵は1頭のみであり、輸送後の水様便の発生と輸送距離、割当床面積にはいずれも関連は認められなかった。血中のコルチゾール、ノルアドレナリン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、IgMの各濃度は輸送距離によって影響を受け、特に輸送距離が100kmを超えると影響が大きかった。今回の結果から、我が国で輸送される哺乳子牛についても輸送距離を100km未満に抑えるのが妥当性であることが確認された。
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