1)脂肪細胞分化制御およびオーファン核内受容体、ReV-ErVaの内因性および外因性制御因子の探索 ReV-ErVαはマウス胎児由来脂肪前駆細胞、3T3-L1細胞分化の進行に伴って、その発現が上昇している。しかし、反芻動物においてReV-ErVαが脂肪細胞の分化に影響しているか、またそれを制御している因子は不明である。そこでReV-ErVα mRNAの内因性および外因性因子の探索を行った。その結果、VFA、なかでも酪酸によってその発現は著しく上昇したが、酢酸による変化は認められなかった。さらに、ラクトースウレイドは、その発現を抑制する傾向を示した。以上の結果は、反芻動物においてもオーファン核内受容体であるReV-ErVαが脂肪細胞の分化に深く関与していることを示唆した。 2)核内転写因子LXRαのノックダウンが脂肪細胞分化に与える影響の解析 平成21年度の研究より、核内転写因子LXRαがウシおよびめん羊における脂肪細胞形成過程で強く発現していることを確認した。そこで本年度は、LXRαのsiRNAを使用し、その転写因子のノックダウンを作成して、この転写因子が実際に脂肪細胞の分化制御因子として作用しているか否かを検証した。その結果、3T3-L1細胞においては、LxRαsiRNAは分化誘導3日目でLXRαの発現を抑制したが、LXRαの下流に存在するSREBP-1cの発現は抑制せず、脂肪細胞の分化も抑制されなかった。以上の結果は、従来提唱されているLXRα-SREBP-1c-脂質合成酵素誘導といった説をくつがえしたものであり、SREBP-1cは他の経路で制御されている可能性を示唆した。
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