研究課題
ヤギは世界中広範囲に飼養されている家畜であるにもかかわらず、ゲノム解析が他の家畜と比べて大幅に遅れており、ゲノム情報を基盤とした育種は全く行われていないのが現状である。そこで本研究はヤギのゲノム情報蓄積と第一歩として全染色体をカバーする遺伝子マーカーを整備し、さらにこれらを家畜経済形質の遺伝子座の同定へ利用するため、ヤギのカシミヤ毛生産をターゲットに連鎖解析を行い、カシミヤ毛生産に関与するQTLを同定することを目的に実験を行い、本年度は以下に示す結果を得た。(1)ヤギゲノムDNAからのマイクロサテライトマーカーの単離:昨年度報告した177種に加え、本年度新たに250種のCA/GTおよびGA/TC反復配列を含むDNA断片を単離した。これらのうち、175種についてはSTS化し、PCR-SSLP法によりシバヤギ、ザーネンおよび韓国在来山羊間で多型解析を行った結果、110種がすべての品種で増幅が認められ、そのうちの34種で多型が検出された。(2)遺伝学的解析によるカシミヤ毛生産に関与するQTLの検出と候補遺伝子の特定:マルチプレックス化したマイクロサテライトマーカーを用いて、昨年度から継続してカシミヤ毛低生産品種であるザーネンおよびカシミヤ毛高生産品種であるシバヤギ間の戻し交配個体群を用いてQTL解析を行った結果、第5番染色体に検出したQTLは統計学的に有意な値を大きく超えLODスコア6.43の値を示した。また、この領域に存在するタイプIIケラチンクラスター内の遺伝子の多型解析を行った結果、シバヤギおよびザーネン種間でkrt71において2箇所、krt72において2箇所、krt75において8箇所、krt81において1箇所、krt82において2箇所およびkrt85において1箇所のミスセンス変異を検出した。
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J.Agric.Sci. 54
ページ: 163-167
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