研究課題/領域番号 |
20580315
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研究機関 | 麻布大学 |
研究代表者 |
山本 静雄 麻布大学, 環境保健学部, 教授 (40130900)
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研究分担者 |
福山 正文 麻布大学, 環境保健学部, 教授 (40075932)
古畑 勝則 麻布大学, 環境保健学部, 准教授 (00308305)
栗林 尚志 麻布大学, 環境保健学部, 講師 (00386799)
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キーワード | 腸管出血性大腸菌 / 初乳抗体 / イヌ / ウシ / 感染症 / 受動免疫 / 免疫学 |
研究概要 |
本研究の目的は、腸管出血性大腸菌O157:H7(以下、O157と略記)が産生するベロ毒素(VT2)に対するウシの免疫初乳抗体(初乳抗体)の動物の腸管内における蛋白質分解酵素への抵抗性を検討し、さらにどのIgクラスがベロ毒素の中和抗体として有効に作用するかを動物実験で明らかにすることにある。 実験では、O157(VT2産生株)に対する初乳抗体あるいは血清抗体をビーグル犬へ経口投与した後の腸管内における抗体活性について検討した。抗体の活性は、初乳抗体が投与2時間後まで変化しなかったのに対して、血清抗体は投与1.5時間で10%まで低下した。初乳抗体のIgクラス別では、分泌型IgAの活性は投与2時間後まで変化が認めらなかったが、IgGおよびIgMはそれぞれ60%および40%まで低下した。 一方、血清抗体の活性は、投与1.5時間後で既にIgAは20%、IgGおよびIgMは10%まで低下した。ビーグル犬へO157(VT2産生株)を経口接種した後にVT2に対する初乳抗体あるいはVT2に対する抗体を含まない初乳乳清を投与した後の糞便中のVT2量を検討した。その結果、初乳抗体投与後の糞便中のVT2量は有意に減少したが、初乳乳清投与後の糞便中のVT2量は徐々に減少した後、接種5日後に再び増加した。また、O157(VT2産生株)を経口接種した後、初乳抗体、初乳抗体を得たウシの血清抗体および生理食塩水を投与した後の糞便中のVT2量について検討した。糞便中のVT2量は、初乳抗体投与後に有意に減少したが、血清抗体および生理食塩水投与後では徐々に減少し、投与前と有意な差は認められなかった。以上のことから、マウスに比べて腸管内に蛋白質分解酵素が多く分泌されると考えられるビーグル犬においても初乳抗体はVT2に対して高い中和能を有することが確認された。
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