研究課題/領域番号 |
20580316
|
研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
三谷 匡 近畿大学, 先端技術総合研究所, 准教授 (10322265)
|
研究分担者 |
佐伯 和弘 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (10298937)
松本 和也 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20298938)
田口 善智 近畿大学, 生物理工学部, 講師 (70309269)
|
キーワード | ABCトランスポーター / Bcrp1 / ES細胞 / 発現制御 / 分化誘導 / Yeast Two Hybrid |
研究概要 |
本研究では、ES細胞の未分化状態の維持におけるABCトランスポーターファミリー・Bcrp1による制御機構に関する分子基盤を明らかにすることを目的とする。本年度は以下の研究を行った。 (1) ES細胞におけるBcrp1 mRNAアイソフォームの発現解析 平成21年度において見出した、未分化ES細胞で特徴的に発現の高いBcrp1 mRNAアイソフォームAの上流約1kbの発現制御領域についてさらに詳細な解析を行った。その結果、c-MycならびにRFX2結合モチーフ領域が同アイソフォームの転写を大きく促進する可能性が示された。 (2) ES細胞におけるBcrp1と相互作用する分子の探索 ES細胞に発現するBcrp1の細胞内局在や活性は、幹細胞の未分化状態の維持に関係する何らかの制御を受けていると考えた。そこで、酵母ツーハイブリット法を用いて、マウスES細胞においてBcrp1と結合し、直接その制御に関わるタンパク質について探索した。その結果、ガン抑制遺伝子産物であるセリン・スレオニンキナーゼLkb1がBcrp1と結合していることが示唆された。また、Lkb1は未分化状態のマウスES細胞において強く発現している一方で、ES細胞を分化誘導すると発現が急速に消失することを明らかにした。 (3) ES細胞の分化過程における遺伝子座の核内配置の動態の解析 平成21年度において、Bcrp1の過剰発現がOct3/4の発現を亢進することを見出した。そこで、ES細胞や初期胚において転写制御に関わる要因のアッセイ系について検討した。その中で、細胞核高次構造の機能に着目し、染色体テリトリー内において未分化マーカーであるOoc3/4遺伝子座の移動はほとんどなく、一方で肝分化マーカーであるTdo2遺伝子座では、分化に伴うループアウト現象が観察させるなど、クロマチン・染色体レベルでの遺伝子発現制御に関する解析モデルを確立した。
|