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2009 年度 実績報告書

旋毛虫由来転写関連因子Rcd1が筋肉細胞分化誘導に及ぼす影響の分子生物学的解析

研究課題

研究課題/領域番号 20580320
研究機関岐阜大学

研究代表者

長野 功  岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40283296)

研究分担者 呉 志良  岐阜大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (90313874)
キーワード旋毛虫 / Rcd1 / 筋肉細胞分化 / 分子生物学
研究概要

1.蛋白の昆虫細胞での発現、精製
旋毛虫が分泌するRcd1、43kDa蛋白および53kDa蛋白の昆虫細胞での発現・精製を行った。しかし、43kDa蛋白の発現のみ確認できなかった。発現させた蛋白は22年度の生理活性の解析実験に使用する予定である。
2.RNAiによる解析
Rcd1、43kDa蛋白および53kDa蛋白遺伝子に対応するdsRNAを作製して種々の方法により旋毛虫の新生幼虫、筋肉幼虫、成虫に導入を試みたが、それぞれの遺伝子のノックダウンは確認されなかった。
3.細胞を用いた旋毛虫分泌蛋白の生理活性の解析
前年度にRcd1とc-myb遺伝子を同時にHEK293細胞に導入し、c-mybのmim-1プロモーターを介する転写活性を検討し、Rcd1遺伝子の導入量が増えるのに従い、mim-1の転写活性は段階的に抑制されることを報告した。今年度においてc-myb量等の条件を変えて検討したところ、ある条件下ではmim-1の転写活性を増強する可能性が示唆された。
転写因子であるAP-1、E2FおよびNF-κBは、炎症性刺激や発ガン、分化、アポトーシスなどにおいて重要な役割を果たしていることが知られている。旋毛虫Rcd1のAP-1、E2FおよびNF-κBの各特有な応答配列に対する転写活性に与える影響をルシフェラーゼアッセイによって解析した。その結果、Rcd1はAP-1、E2Fに対してはup-regulateに、NFκBに対してはdown-regulateに影響を及ぼしていることが明らかになった。
4.旋毛虫感染におけるIGF因子群の発現動態
IGFシグナル経路は、細胞の分化、細胞周期、アポトーシスなどを制御することによって、筋肉の発生、成長、再生に幅広くかかわる事が知られている。一方、旋毛虫のうち、T.spiralisとT.pseudospiralisでは、感染による筋肉の病理変化は大きく異なる。この二種類の旋毛虫の感染過程におけるIGF因子群の発現動態が筋肉の病理変化とどのように相関するかについて検討した。T.spiralis感染においでは、IGFおよびIGFBP2遺伝子の発現は感染後すぐに増加し始めるが、T.pseudospiralisでは、その発現は感染後期にピークを示す。これらの結果から、IGF因子は筋肉の病理変化、また感染細胞のナース細胞への変異に関与する重要な遺伝子群であることが示唆された。
5.種特異的組換え53kDa蛋白を用いたヒト旋毛虫症の血清学的診断法の検討
53kDa蛋白はTrichinella属に特有な蛋白である。今回、組換え53kDa抗原によるELISAをヒト旋毛虫症に適用し、ヒトでの感染における血清診断の応用の可能性について検討を行った。その結果、組換え53kDa抗原を用いれば、感染の早期の診断および感染種の推定が可能であると思われた。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Human trichinosis after consumption of soft-shelled turtles, Taiwan2009

    • 著者名/発表者名
      Lo Y.C.
    • 雑誌名

      Emerging Infectious Diseases 15

      ページ: 2056-2058

    • 査読あり
  • [学会発表] 種特異的組換え抗原を用いた旋毛虫症の血清学的診断法の検討2009

    • 著者名/発表者名
      長野功
    • 学会等名
      第65回日本寄生虫学会西日本支部総会
    • 発表場所
      大阪市
    • 年月日
      2009-11-07

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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