研究課題/領域番号 |
20580335
|
研究機関 | 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター |
研究代表者 |
守村 敏史 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所・疾病研究第二部, 流動研究員 (20333338)
|
研究分担者 |
小川 正晴 独立行政法人理化学研究所, 小川研究ユニット, ユニットリーダー (50111951)
|
キーワード | Reelin / Dab1 / 投射ニューロン / 大脳皮質 / チロシンリン酸化 / in utero electroporation / migration / 転写因子 |
研究概要 |
細胞外マトリックス蛋白質Reelinは、胎仔大脳皮質遍縁帯に存在するCajal-Retzius細胞より分泌され、移動中の未熟投射ニューロンの細胞内アダプター蛋白質Disable-1(Dab1)のチロシン残基のリン酸化を誘導する事により、それらの移動と配置を決定し6層からなる規則正しい層構造形成を司る。私は、Dab1が細胞質と核の間をシャトルするタンパク質であることに着目し、Reelin刺激後チロシンリン酸化Dab1は核へ移行し遺伝子発現を制御する事によりニューロンの移動と配置を決定しているという可能性を、これまでに実験的に明らかにしてきた。昨年度は、野生型Dab1をDab1欠損マウスの胎仔大脳皮質の投射ニューロンに強制発現させ、ニューロンの移動の異常を回復させる実験系を構築した。更に、Reelinにより誘導される4つのチロシン(Y)リン酸化部位のうち、Y185とY198の両者をフェニルアラニン(F)で置換した(Y185F/Y198F)変異体並びにY220F/Y232F変異体は投射ニューロンの移動の異常を回復する事ができなかった。一方、前者と後者のそれぞれ一つのチロシン残基をフェニルアラニンに置換した変異体は、野生型同様投射ニューロンの移動を回復する事ができた事から、ReelinによるDab1のリン酸化の下流には、Y185とY198のリン酸化により媒介される経路と、Y220とY232のリン酸化により媒介される経路が存在する事が明らかとなった。以上の結果については学会及び学術誌に発表した。更に本実験系を用いて、転写抑制型Dab1をDab1欠損マウスの胎仔大脳皮質に強制発現させると、ニューロンの移動の遅延が認められ、投射ニューロンの移動の一部はDab1の転写制御により調節されている事が示唆された。
|