研究概要 |
前年度までに,2004年から2006年の間に,世界の計8地域から輸入されたペット用齧歯類27種516頭についてBartonella属菌の保有状況について検討し,17種142頭(27.5%)からBartonella属菌が分離され,陽性個体の41.5%(59/142)が新種と思われるBartonella属菌を保菌していることを明かとした。 本年度は,ペット用齧歯類から分離された新種と思われる6系統の株(各系統から2株,計12株)について細菌学的,分子生物学的に性状解析を行った。透過型電子顕微鏡解析では全株に線毛が観察され,野鼠を自然宿主とするB.alsatica,およびB.tribocorumと類似していた。生化学的性状および推定G+C含量(36.2-38.9mol%)は,全株が既存種と類似した性状を示した。gltA,rpoB領域における既存種との塩基配列の相同性は,全株でBartonella属菌の種を分ける基準値となる96.0%,95.4%よりも低く,16SrRNA,ftsZ,gltA,groEl,ribC,rpoB,16S-23S遺伝子間領域の連結配列による系統樹では,各分節が100%に近いブートストラップ値で支持される6つの系統に分岐された。 以上から,ペット用齧歯類から分離された6系統の株は全て新種のBartonella属菌であると思われた。今後新種として登録する予定である。
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