研究概要 |
本研究の目的は、(1)カドミワム(Cd)非汚染対照であるCd標準回帰直線(CSRL)の有効性を検証すること、(2)バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タリウム(Tl)でも汚染判定指標を作成すること、(3)動物実験によりTiが他の有害重金属元素の毒性を軽減するか否かを検討すること、および(4)細菌L.monoeytogenes (L.m.)に対するCdとVの影響(増殖性と変異原性)を検討することである。 (1)(2):22年度までにCSRLの検証および対照とした4元素を包含するPb指標(Mochizuki-Ueda line)の作成を終了した(Wildlife;Nova Science, 2009, The 5th International conference on energy, environment, ecosystems and sustainable development (Greece;2009.9、本年度著書参照)。(3):TiがCdの毒性を軽減する成績を得たが、その作用がTi濃度と関連する成績であった(第149回日本獣医学会報告)ので、本年度はTi濃度の影響について検討するためにICR♂マウスの摘出臓器を用いて、各種濃度の硫酸TiとCdを投与した場合の影響を検討した。この結果、低濃度Ti投与群(10-5M以下)では組織中Cd含量が対照群より増加する傾向が得られたが、高濃度Ti投与群(10-4M以上)では組織中Cd含量が減少する成績が得られた。現在、この成績と前年度in vivoで得られた成績との関係を検討しているところである。(4):CdがL. mの増殖性に影響を与えている成績を既に得ている(第149回日本獣医学会報告)。本年度はCdとVを含む培養液中で培養したL. mから抽出した染色体DNAを用いて、どのような変異が起こっているのかをパルスフィールドゲル電気泳動法などを用いてさらに詳細に解析を進めている。
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