研究概要 |
本研究の大きな目的は、生産性改善、群健康管理および動物福祉向上のための技術・情報と知恵を供給することで、国内養豚農場の経営向上に寄与することである。 具体的目標は以下である。 1.国内養豚生産農場における繁殖雌豚の蹄の外傷の詳細の実態を調べる。 2.・繁殖雌豚の蹄の外傷の部位と程度と行動の関係を明らかにする。 3.繁殖雌豚の蹄の外傷の部位と程度と繁殖成績の関係を明らかにする。 4.生産農場における繁殖雌豚の蹄の外傷のリスク因子を明らかにする。 5.繁殖雌豚の蹄の外傷の部位と程度と6ヵ月後の淘汰と生存率の関係を明らかにする。 6.繁殖雌豚の蹄の外傷の部位と程度と長期生存率(3年まで)との関係を明らかにする。 了承が得られた研究農場において、観察研究を行った。分娩豚舎の分娩豚房で飼育されている妊娠末期豚の1頭当たり8蹄を観察した。スコア0を損傷なし、スコア1を表皮層内の損傷、スコア2を真皮に達する損傷、スコア3を皮下組織に達する損傷と定義した。観察した妊娠末期豚は70頭で、平均産歴は1,7±0,22(範囲0-6)であった。 少なくとも1つスコア3、〓2、〓1の蹄損傷を持っていた妊娠末期豚は、それぞれ1頭(1.4%)、2頭(2.9%)、32頭(42.9%)であった。産歴0、〓2の妊娠末期豚は、産歴1の雌豚よりも、蹄損傷有りの雌豚の割合が高い傾向があった(45.5±5.95,57.1±5.92vs.20.0±4.78%)。妊娠末期豚における蹄損傷の有無は、総産子数、生存産子数、死亡子豚数、淘汰リスク、及び姿勢行動に関連がなかった。
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