研究課題
申請者は、アジア初のツボカビ症を発見した。そこで、本研究は我が国に生息する両生類の種の保存と生物多様性および生態系の保全のため、カエルツボカビ(以下Bd)の在来種へのリスク評価と対策の確立を目的とした。2009年は、Bd感染実験例を病理学的に解析し、外来両生類のツボカビ症と臨床および病理像が異なること、さらに、国内で初めて樹立したBd培養株を用いた感染実験により、ヌマガエルが高感受性であることを明らかにした。また、オオサンショウウオのBd感染状況を把握し、抗カビ剤を用いた安全かつ効果的な除菌方法を確立した。加えて、オオサンショウウオのBdのハプロタイプを明らかにして、Bdの東アジア起源説を提唱した。申請者は、上記実験と並行して、Bdの在来種への影響を評価するために、大量死野生両生類の病性鑑定を実施していたところ、カスミサンショウウオの大量死事例より、新たなるラナウイルスHNVを発見し、さらに、2009年9月にウシガエルの大量死を確認・検索した結果、2008年に国内で初めて発見したラナウイルス(RCV-JP)と同一のウイルスによるものと特定した。2年にわたって、ラナウイルス感染症のみられたエリアは、4都道府県5箇所に及んだが、半径35Km以内に限られており、一部、共通の水系であることがわかった。このため、環境省と地方自治体とともに、病原体拡散阻止のための対策を講じた。また、阿武隈山系のトウホクサンショウウオ産卵地において、皮膚メタセルカリア症の多発を確認し、遡及的および疫学調査を実施した。その結果、この疾患は2000年に初めて発見され、漸次、発見エリアおよび罹患率が上昇し、場所によっては100%に達することを明らかにし、さらに、この病原体の急増に、同地域のミンク、アライグマの増加が関与する可能性を示唆した。
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