研究課題/領域番号 |
20580357
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研究機関 | 大阪府立大学 |
研究代表者 |
笹井 和美 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 教授 (70211935)
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研究分担者 |
谷 浩行 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 准教授 (00305658)
松林 誠 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 動物衛生研究所, 主任研究員 (00321076)
古家 優 大阪府立大学, 生命環境科学研究科, 助教 (30500706)
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キーワード | Apicomplexa / conoid / 鶏型モノクローナル抗体 / リコンビナント抗conoid抗体 / 感染防御 |
研究概要 |
Apicomplexa門に属する寄生虫疾患の治療においては、抗原虫薬や生ワクチンなどの現行の予防法には問題があり、新たな予防法としてリコンビナントワクチンの開発が求められている。Apicomplexa門に含まれるEimeria属は、侵入型虫体先端に5つの微小器官から成るapical complex(以下、AP)を持つ。この一器官であるconoidは微小管束から成る円錐型の構造であり、Eimeria属における役割や動態の詳細は明らかではない。当研究グループでは、作製したconoid特異的鶏型モノクローナル抗体(以下、mAb)がin vitro阻害アッセイで原虫の宿主細胞侵入を抑制したことから、ワクチン候補としてconoid抗原に注目し、mAbにより認識される抗原の発現動態の解析、およびリコンビナント抗体の作製を試みている。本研究では、新たに作製されたリコンビナント抗conoid抗体を用いて、Eimeria acervulina(以下Ea)生活環における特異反応性の検討を行った。【材料と方法】実験1:Eaのsporozoiteを単離して塗抹標本を作製し、11種のリコンビナント抗conoid抗体(以下、rAb)を用い、免疫組織化学法により各抗原の局在を検討した。実験2:mAbそのrAbの相同性を検討するため、Ea sprozoite塗抹を用いて、両抗体の競合作用を観察した。つまり、mAbをsporozoite塗抹に吸着させた後、rAb抗体を用いて実験1と同様に抗原の局在を観察した。実験3:Ea感染後経時的に採取した鶏十二指腸におけるrAbの特異反応性を、免疫組織化学法により検討した。【結果】実験1:全てのrAbにおいて、mAbと同様にsporozoite前端のAPに陽性反応が認められた。しかし、一部の抗体ではAP以外の箇所にも反応が認められる虫体が存在した。実験2:全てのrAbが、実験1と同様にsporozoite前端のAPを認識した。実験3:Ea感染72、96、120時間後のシゾント、および有性生殖期の虫体に対し、rAbでは陽性反応が認められなかった。【考察】rAbとmAbの認識抗原が異なる可能性が示唆された。さらなる解析のため、Ea可溶化蛋白質を用いたWestern blot法により抗原蛋白質を比較検討する必要があり、今後の研究成果に期待される。
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