研究課題
本研究では、昨年度に引き続き、北方樹木由来のストレス耐性遺伝子を導入した環境ストレス耐性樹種の創製を目指して研究をおこなっている。材料には形質転換可能なモデル樹種かつ成長の早い交雑ポプラ(ハイブリッドアスペン、Populus tremula×P.alba)を、導入遺伝子にはニホンカラマツ(Larix Kaempferi)木部柔細胞の冬季誘導性遺伝子群の中から複数のストレス耐性に関与する可能性を秘める候補遺伝子をそれぞれ用いることにした。ラフィノース族オリゴ糖合成の基質のひとつであるガラクチノールを合成するガラクチノール合成酵素の遺伝子LkGolSを導入した形質転換体の機能評価を昨年度に引き続き行っている。なかでも木部組織を用いて凍結抵抗性を評価するためには成熟した木部組織の調製が必要である、そのための個体の増殖と成長に時間を要しているため、過冷却能への影響評価は現在継続中である。また、次なる形質転換体の作出のため、カラマツ由来のデハイドリン及びデハイドリン様タンパク質をコードする遺伝子のcDNAを形質転換用ベクター(pBI121)のカリフラワーモザイクウィルス35Sプロモーター下流に挿入し、アグロバクテリウム(Agrobacteriun tumefaciens)法によってハイブリッドアスペンの形質転換を試みているところであり、まだ結果を得られる段階には至っていない。今後は、引き続き形質転換体の導入遺伝子の影響評価を行うとともに、他のストレス耐性に関与する遺伝子を用い、新たな形質転換体の作出を試みる予定である。
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低温生物工学会誌 55
ページ: 37-41
http://www.agr.hokudai.ac.jp/woosci/woobio/