研究概要 |
昨年度作成したファミリー5に属する触媒モジュールに、ファミリー3,6,11の異なる結合モジュールを融合したセルラーゼを使用し、本年度は、そのバイオマスの分解特性について詳細な検討を行った。結合モジュールを持たない触媒ドメイン単独のものを含め、4つの酵素について活性を調査したところ、次のことがわかった。(1)結合モジュールをもつものの活性が高いこと。これは、結合モジュールが酵素を基質表面に持って行く標的効果の現れであることが確認できた。(2)ボールミル処理したセルロースに対しては、ファミリー11の結合モジュールをつないだ酵素の活性が一番高く、カラス麦キシランに対しては、ファミリー6の結合モジュールをつないだ酵素の活性が一番高かった。このことは、酵素の活性に対して、糖質結合モジュールの結合特性が影響していることを示している。今回使用したファミリー6の糖質結合モジュールは、キシランに結合する特性をもち、ファミリー11はセルロースに結合する特性を持っているので、酵素をどのような場所に集めるかということが活性に影響することが明らかになった。一方、ファミリー3の糖質結合モジュールについては、その結合特性についてさらに詳細な検討を行い、これについて、学会で発表するとともに、論文として投稿した。残念ながら、申請書に記載した同一結合モジュールに、異なる触媒モジュールをつないで酵素特性を評価する実験が達成できなかった。
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