研究課題/領域番号 |
20580367
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研究機関 | 独立行政法人国際農林水産業研究センター |
研究代表者 |
八田 珠郎 独立行政法人国際農林水産業研究センター, 利用加工領域, 主任研究員 (60164860)
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研究分担者 |
小室 光世 筑波大学, 生命環境科学研究科, 講師 (40251037)
篠原 也寸志 独立行政法人労働安全衛生総合研究所, 環境計測管理研究グループ, 上席研究員 (20321896)
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キーワード | カドミウム / 亜鉛 / 砒素 / アンチモン / 風化 / 土壌 / 鉱物 / 粘土 |
研究概要 |
(1)各地で採取された亜鉛を含む鉱石の中で、とくに閃亜鉛鉱中のカドミウム置換率は最大で約0.5%(5000ppm)であった。 (2)コメ可食部中に亜鉛を置換して入るカドミウムの最大置換率を得るために栽培試験を行い、糠に存在した粒子を分析したところ、カドミウム置換率は最大で約0.5%(5DOOppm)であり、閃亜鉛鉱中のカドミウム置換率と同様であった。 (3)とくにコメ粒に吸収される部位は、糠・籾殻及びタンパク質との結合によるコメ粒外周部であることが判明した。したがって、コメ粒の分析には偏在性を考慮することが必要であり、コメ粒周囲から精米器等により削り取れば亜鉛、カドミウム含有量は減少することになる。 (4)コムギ、パールミレット(トウジンビエ)でも各種元素の分布はコメ同様であった。 (5)亜鉛とカドミウムでは、穀類は選択的に亜鉛を吸収する。また、カドミウムが供試土壌中に含まれると根の発達が著しく減少した。 (5)熱力学的計算により、カドミウム炭酸塩やリン酸塩中のカドミウムはpHの低下により溶解度を増す。 (6)コメは経年により、酸化が進む(表面pHが減少する)ためコメの品質劣化に関して注意を要する。 (7)かつて我が国で砒素の産出が認められた鉱山周辺では、現在でも多くの砒酸塩鉱物が存在するとともに、同じ第15属のアンチモンが多量に存在することがある。しかし、廃鉱山周辺には地衣類・辞苔類が自生し、生体中には多くの砒素及びアンチモンを含む。 (8)熱力学的計算では、水溶液中の砒素は酸素分圧の量に関係しているが、pHにはあまり依存せず、地表環境条件では酸素分圧の対数が-30~-40gのときのみ、砒素が固相に入らないことが判明した。 (9)窒素、リンは同じ第15属であるため、第15属元素を産出する地域周辺では、農業生産物への砒素、アンチモンの混入に注意を要する。
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