研究課題/領域番号 |
20580372
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
徳永 正雄 鹿児島大学, 農学部, 教授 (20112782)
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研究分担者 |
石橋 松二郎 鹿児島大学, 農学部, 准教授 (20305163)
徳永 廣子 鹿児島大学, 農学部, 技能補佐員 (60381191)
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キーワード | 好塩性酵素 / 酸性アミノ酸 / 構造可逆性 / 好塩性α-アミラーゼ / 融合蛋白質 |
研究概要 |
通常生物がとても生きてゆけない特殊な環境で生息できる「極限環境生物」は、厳しい環境で生き抜く「極限能力」を持っている。高い塩分濃度を好む好塩菌は、味噌・醤油の醸造・塩蔵食品加工など食品産業において重要であり、塩湖など自然界にも広く分布し、人の生活に比較的「身近な極限環境微生物」である。中度好塩菌(主に真正細菌)は、0.2M~飽和塩濃度という極めて広範囲の塩濃度に適応して生育する。この菌の分泌型酵素は、外界の塩濃度に対応して、低濃度~高濃度の幅広い塩存在下で良く働き、安定性に塩を要求しないものが多く産業的利用には最適である.好塩性酵素は、アミノ酸組成に明快な特徴がある。それは、酸性アミノ酸に富み、net chargeがマイナス荷電に偏っている(等電点が低い酸性タンパク質)ことで、この性質が高い可溶性と、変性しても凝集しないで巻き戻る高い構造可逆性を保証している。昨年までの実験で、通常酵素(モデル酵素)に酸性アミノ酸を導入することにより、活性に影響なく、高い可溶性や変性からの高い構造可逆性を付与することに成功した。また、好塩性酵素との融合蛋白質を作ることによって、単独発現では封入体として不溶性で発現する有用蛋白質を生物活性を持った可溶性の形で発現させることに成功した。本年度は、最終年度であり、未だ実施していなかった計画を集中的に実施した。特に、産業的に有用な好塩性の加水分解酵素、α-アミラーゼ、プロテアーゼサーモライシン、サチライシンについて、遺伝子分離と大腸菌において、発現系の構築に成功し、様々な好塩性について性質検討を行なった。特に、α-アミラーゼについては、高い構造可逆性(熱変性耐性)と「生でんぷん」に対して高い酵素活性を有するという特徴が認められ、今後、産業的利用が有望である。
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