研究課題/領域番号 |
20580373
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研究機関 | 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構・食品総合研究所 |
研究代表者 |
逸見 光 独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構, 食品総合研究所食品分析研究領域, 主任研究員 (70353993)
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研究分担者 |
久野 敦 独立行政法人産業技術総合研究所, 糖鎖医工学研究センター, 主任研究員 (50302287)
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キーワード | 蛋白質 / 糖鎖 / NMR / レクチン / 糖認識ドメイン |
研究概要 |
これまで申請者らは、血球凝集能を持つミミズ由来R型レクチンC末端ドメイン(EW29Ch)中に存在する2つの糖結合部位とラクトースとの結合についてのNMR解析で、すでに報告されているEW29Chと糖との複合体X線結晶構造解析で2つの糖結合部位の相互作用にほとんど違いが見られないにもかかわらず、α糖結合部位がγ糖結合部位に比べ約100倍強い糖結合活性を持つことを見出した。さらに、遊離状態でのEW29ChのNMR構造を決定し、結晶構造と比べ一部ループ領域や糖結合に関係する残基において構造の違いがあることを明らかにした。本年度は、まず糖側からの相互作用を詳細に解析するために、ガラクトース残基のみ及びグルコース残基のみ^<13>Cでラベル化したそれぞれのラクトースを用い非ラベル体EW29Chとの混合溶液(ラクトース/EW29Ch=1/1)により[^<13.C,^1H]-HSQCの測定を行った。その結果、ラクトースのガラクトース残基の^<13>C-^1Hシグナルのみシフトし、特に4位及び6位のシグナルが大きくシフトすることが分かった。さらに、ラクトース/EW29Chのモル比が1:1のサンプルを用いて、NMRにより溶液中でのEW29Ch-ラクトース複合体の立体構造解析を行い、強い糖結合活性を持つα糖結合部位とラクトースとの複合体立体構造を決定した。その結果、溶液中でのα糖結合部位とラクトースの相互作用は複合体X線結晶構造とほぼ同じであることが分かった。さらに、リガンドとの結合において重要であるタンパク質の分子内運動性についても、^<15>Nラベル体EW29Chを用い、ラクトース濃度依存性による横緩和速度の測定を行い、糖結合による分子内運動性の変化についての解析を行った。その結果、α糖結合部位の残基において特に変化が見られたことから、遅い運動性(マイクロ秒~ミリ秒)が糖との結合性に重要であることが分かった。
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