不飽和土の凍結にともなう物質移動過程と凍結面近傍の水分特性の変化を調べることを目的に、シルト質土、砂、および実際の畑地の黒ぼく土を用いて1次元凍結実験を行った。この結果、土質や水分飽和度、溶質が凍結過程の水・熱移動に与える影響が整理された。また、実際の畑地の上層および下層土を用いた成層土の凍結実験により、下層土の性質や状態が凍結過程の移動可能水量や融解過程の浸潤量に及ぼす影響を示した点はこれまでにない知見であり、意義深い一方今後の定量化が必要である。ここで、試料内の圧力分布や浸潤過程を制御可能な改良版凍結装置を作成した。 撥水性の試料や黒ぼく土を含む多くの土の不凍水量と低圧下の水分特性を測定し、相平衡の状態方程式を凍土に適用する際の問題点を整理した。また結果の解析より、凍土の不凍水圧と温度の関係に全水量依存性があることが示唆された。今後、理論や数値計算の改良を検討する必要がある。 凍土の水分保持特性や不飽和透水係数について、三重大に滞在していたDr. van Genuchtenおよび、カリフォルニア大リバーサイド校のDr. Simuek、Dr. Sakai、ワシントン州立大のDr. Fluryらの研究グループと討議を重ね、数値計算ソフトHYDRUSを、凍土の不飽和透水係数の関数型やパラメータのセンシティビティを調べられる様改良した。今後、討議の結果や、得られた実験データの解析に活用予定である。
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