研究概要 |
1.無保護N-メチルアミノ酸を脱炭酸させることにより、発生するカルバニオンにベンズアルデヒド類を反応させ基本骨格として医薬品に多く含まれる1-フェニル-1,2-アミノアルコール誘導体を生成する反応の開発を目的とした。我々は既に、中間体として生成するオキサゾリジン体を加水分解することによって、収率良く目的のアミノアルコール体が異性体の混合物として収率良く得られることを見出していた。この反応の適用範囲を広げる目的で、無保護アミノ酸の種類を変化させて反応を行ったところ、N-メチルフェニルアラニンを用いた際に、副生成物として構造未知の化合物がえられた。この構造が1,2-ジフェニルアミノアルコール誘導体だということを明らかにした。 2.この副生成物の構造が明らかになったことにより、反応経路が明らかとなり、反応条件の再検討をしたところ、低温(130度→80度)、ベンズアルデヒドのモル比(6当量→2当量)、また無溶媒から無極性の溶媒(THF)でも反応することが明らかとなった。 3.N-メチルアミノ酸以外のアミノ酸でも、この反応が進行することが明らかとなったが、収率の面で今一歩であり、今後の検討課題である。 4.今回の発見は、この反応の不斉合成を実現する上で重要な一歩であると考えられる。
|