研究概要 |
1. 前年度に、N-Methylglycineとp-Benzyloxybenzaldehydeとの反応を行ったところ、脂肪代謝を促進する物質として知られているSynephrineの前駆物質O-benzylsynephrineを収率70%以上で得られることを見出した。この化合物は、不斉炭素が一つしかなく不斉合成のモデル化合物として最適であったが、極性が高く単離、生成に多くの手間がかかるので、N-benzylglycineを用いて同様の反応を行ったところ、N, O-Dibenzylsynephrineの塩酸塩を良い収率(60%)で得ることが出来た。この塩酸塩は、有機溶媒にも水にも難溶であり、容易に結晶として生成可能であった。本反応は、不斉合成を検討するための最も良いモデル反応となる。 2. 上記反応を、極性の低い溶媒(THFなど)中で、またより低温で反応を検討しているが、現在の所成功していない。また、反応を促進するための添加剤(酸触媒、金属触媒等)を加えてより緩和な反応条件を見出す検討も行っているが、現在の所、成功していない。 3. さらに、Glycine以外のアミノ酸、Phenylalanine, Proline, Tryptophanでも反応を試みたが、生成物の単離には到っておらず、複雑の混合物を与えた。しかし、反応は進行しているため、さらに反応条件を検討して、目的物が収率良く得られる条件を検討する予定である。
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