研究概要 |
沙棘葉の活性成分の探索を行なうと共に、新たに九股藤及び猪毛蕎より単離した化合物の中性脂肪(TG)蓄積抑制活性について検討した。 沙棘葉から3種のlinaloy1基が結合する新規フラボノール配糖体を単離し、これらの化合物は30μMで約30%のTG蓄積抑制活性が認められた。単離した加水分解型タンニン16種では、10μMで26-56%のTG蓄積抑制活性が認められ、galloyl基の数が多くなるに従い抑制活性が高くなる傾向が認められた。主要成分として得られたtilirosideについて、RAW264.7細胞を用いてiNOS,IL-6,IL-1β,COX-2,TNF-αのmRNAの誘導について検討を行ったところ、特にIL-6の抑制が認められた。そこで脂肪細胞(3T3-L1)とマクロファージ(RAW264.7)の共培養において、MCP-1,TNF-α,IL-6の分泌に与える影響について検討したところ、10μMにおいてIL-6の分泌を優位に抑制することが認められた。次にtilirosideについて、3T3-L1の分化の制御に関係するタンパク、PPARγ,C/EBPα,ap2のmRNAの発現について検討を行ったところ、C/EBPaのmRNA発現量を用量依存的に減少させた。また、インスリン抵抗性改善因子のAdiponectin mRNA発現量にはほとんど影響を与えず、インスリン抵抗性惹起因子のResistinのmRNA発現量を用量依存的に有意に減少させた。Tilirosideには脂肪代謝促進がしられるが、更に脂肪組織におけるインスリン抵抗性を改善する可能性が示唆された。 九股藤から単離したferuloyltyramin誘導体、fuzitine及び(-)-lyoniresin-ol-α-O-βD-gluco-pyranosideに30μMで40.5-52.3%のTG蓄積抑制活性が認められた。猪毛蕎から単離したblumeatin,crisilineol,crisiliol及び7-methoxytaxifolinは、30μMで抑制活性を示し、特にcrisilio1に高い抑制活性(77%)が認められた.これらの化合物の構造式中にはmethoxy基が認められ、その結合位置や数は活性に影響を与えているように思われる。
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