研究概要 |
1、遷移金属触媒下の(擬)10-Sb-4型高原子価化合物とカルボニル化合物とのクロスカップリング反応:Rh触媒下、α,β-不飽和カルボニル化合に分子内N-Sb渡環相互作用を持つSb-aryl-1,5-azastibocine(1)を作用させると、1,4-共役付加体が進行するること、同様の反応をケトン、エステル、シアノ基等を併せ持つアルデヒド類で行うとアルデヒド基が選択的に反応することを見出した。この反応は、相互作用を持たないアンチモン化合物では進行しない。にれらの結果はN-Sb渡環相互作用が1のSb上のアリール基の活性化に寄与するとともに、Sb上のアリール基はソフトな塩基として機能することを示している。その後、1はPd触媒の1もとでハロゲン化アリールともクロスカップリングすることを見出している。 2、遷移金属触媒下のSb(V)アセテート類による、窒素およびホウ素アリール化反応:Cu触媒存在下、テトラアリールアンチモンアセテート類にアミン類やN-Hアゾール類を作用させると、効率的なN-アリール化が起こることを新たに見出した。この反応の進行には、空気中の酸素が重要な働きをしていること、添加する塩基や溶媒を適切に選ぶことによって、アミノ基とNHアゾール上の窒素の一方を選択的にアリール化できることを明らかにした。また、Pd触媒下、ジボラン類にトリアリールアンチモンジアセテートを作用させると、ホウ素のアリール化が起こることを見出した。この反応は、アンチモン試薬上のアリール基2個が反応する効率的な反応であることが判明している。 以上の結果は、有機Sb類が有用な有機合成試薬として活用できることを示唆している。
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