研究概要 |
エラスチンフラグメント(EF)誘導体は,Glyひとつの欠損に対して4種類のβ化誘導体が考えられ,もとのGly部位付近の側鎖位置に大きな違いが生ずるが,その部分から離れるに従って他のアミノ酸側鎖の位置の差が縮まる.申請者らはもともとコアセルベート能よりも細胞遊走性が大きなヘキサペプチドVAPGVGに注目し,誘導体を合成した.親ペプチドとして,t-butyloxycarbonyl基(Boc基)とmethyl ester基(OMe基)を有するBoc-VAPGVG-OMeと,これらを除去したH-VAPGVG-OHを合成した.合成は通常の液相法を用い,シリカゲルカラムクロマトで精製した.後者ペプチドは取扱いが容易であることから塩酸塩として得た. 6残基目のGlyを除去した誘導体 Boc-VA-βP-βG-βV-OMe Boc-V-βA-βP-βG-V-OMe Boc-βV-βA-βP-GV-OMe 4残基目のGlyを除去した誘導体 Boc-VA-βP-βV-βG-OMe Boc-V-βA-βP-βV-G-OMe Boc-βV-βA-βP-VG-OMe 一部の誘導体については収率が低くかった.これらのペプチドの確認はTOF-MSで行った.また,CDスペクトルの測定を数種のペプチドに行い,予備的な構造変化に関する情報を得ることができた.
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