研究課題/領域番号 |
20590026
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研究機関 | 福山大学 |
研究代表者 |
日比野 俐 福山大学, 薬学部, 教授 (60112885)
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研究分担者 |
町支 臣成 福山大学, 薬学部, 准教授 (10248297)
東 修平 福山大学, 薬学部, 助手 (30509287)
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キーワード | 電子環状反応 / benzo[c]phenanthridine / Suzuki-Miyaura reaction / nornitidine / noravicine / isodecarine / broussonpapyrine / chelerythrine |
研究概要 |
研究課題に対して、ボロン酸ピナコールエステルの量産化に成功し、2-臭化ベンズアルデヒド類との鈴木-宮浦反応に供することができ、4環系ベンゾフェナンスリジン構造のA環とCD環の炭素-炭素結合形成に好結果を得た。次いで、オキシムエーテルとした後、アザ6π電子系の電子環状反応に付したところ、4環系のB環ピリジン部分の構築に成功した。この新しい結合形成の位置は、C4b-N5間であり、これまでのベンゾフェナンスリジンアルカロイドの合成研究の中でも見られず、全く新しい合成法の開発に成功した。また、マイクロ波照射下でアザ6π電子系電子環状反応を行うことにより、反応が促進されることが分かった。本法を基本として、nornitidine, noravicineおよびisodecarineの合成に成果を得た。さらに、ベンゾフェナンスリジンアルカロイドの中でも新しい置換様式を持ったアルカロイドbroussonpapyrineが報告され、この天然物の全合成を目的として、研究を推進した。その結果、本法を応用し4行程でbroussonpapyrineの全合成に成功した(総収率33.6%)。その正しい構造は、報告された構造ではなく、すでに知られているchelerythrineの構造と一致することを発見した。我々の合成したbroussonpapyrineの構造は、NMRスペクトルデータおよびX-線結晶構造解析によって目的の構造であることを確認した。したがって、報告されたbroussonpapyrineの正しい構造がchelerythrineであることを早急に論文として公表する。
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