膜蛋白質の膜間移行を利用してビロソームを調製した。ビロソームを人工膜ワクチンとして、マウスの皮下または、経鼻投与した。投与1週間後及び4週間後にインフルエンザウイルメに対する中和抗体を測定したところ、1週間後では、皮下投与においては中和抗体はほとんど認められなかったが、経鼻投与の群では著しい上昇が認められた。4週間後では、皮下投与で著しい上昇が認められた。経鼻投与の群では、1週間後に比べで4週間後では減少したが、アジュバント(Lys-MDP)とともに投与した経鼻投与群では、4週間後さらに著しい上昇が認められた。一方比較として、抗原のみを経鼻投与した群では、1週間後、4週間後いずれも抗体の生成は認められなかったが、皮下投与では、投与後4週間に抗体の生成が認められた。人工膜ワクチン投与1週間後にインフルエンザウイルスを経鼻接種したところ、BALF(気管支肺胞洗浄液)のIgA抗体が上昇し、またウイルズが観測されないことから粘膜免疫が誘導され、予防効果のあることがわかった。次に、膜蛋白質の膜間移行の促進を期待して、膜に侵入容易なオレイン酸の効果を調べる目的で、オレイン酸またはオレイン酸・リン脂質混合ベシクルの性質を検討した。オレイシ酸・リン脂質混合ベシクルは中性付近で安定なベシクルを形成することがわかり、これをベースとしたビロソームの作成が可能であることを見出し、目下ビロソームの構築を検討している。
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