研究概要 |
平成20年度の目標として,金属ポルフィリン固定化カラムの調製法の確立を挙げていた.その目標に従い,以下の方法を確立した.(1)M-TCPP固定化シリカゲルの調製:M-TCPPを以前からの方法で合成し,次いでSOC1_2に溶解し,70℃で2時間環流しM-TCPP酸塩化物M-TCPPC1を調製した.得られたM-TCPPC1をDioxaneに溶解しamino-propylシリカゲルであるDevを加えて還流し,M-TCPP固定化シリカゲルを調製した.(3)Cu-TCPP八臭素化物(Cu-OBTCPP)の合成:(1)で調製したM-TCPPの内,Cu-TCPPをジメチルホルムアミド(DMF)中,臭化コハク酸イミド(NBC)と70℃で1時間反応させた.放冷後,反応液に水を加え,生じた沈殿をろ取しP_4O_<10>上で減圧乾燥させCu-OBTCPPを得た.なお,NBCのかわりにBr_2を用いる方法は反応に12時間以上要するので断念した.(4)TCPP八臭素化物(H_2-OBTCPP)の合成:Cu-OBTCPPを氷酢酸中,濃硫酸を作用させ脱金属を行った後,砕いた氷上に注ぎ沈殿を生成させ,ろ過した沈殿物を,水酸化ナトリウムと塩酸で再沈殿を行い,精製物をNaOH及びP_4O_<10>上で減圧乾燥させてH_2-OBTCPPを得た.なお,得られたH_2-OBTCPPをMS及び吸収スペクトルにより確認した.(5)M-TCPP八臭素化物(M-OBTCPP)の合成:H_2-OBTCPPを酢酸ナトリウム水溶液に溶かし,金属塩化物(MCl_2, M=Zn, Ni, Co, Mn)を加え,常温で撹拌した.その後,吸収スペクトルで確認し,塩酸を加え沈殿物を生成させM-OBTCPPを得た.(6)M-OBTCPPの酸塩化物(M-OBTCPPCl)の合成:M-OBTCPPをジオキサンに溶解し,SOC1_2 1mlを加えて70℃で2時間反応させた.反応終了後,溶媒をエバポレーションにより完全に除去し,更に,80℃,NaOH及びP_4O_<10>上で2時間減圧乾燥させ目的のM-OBTCPPCIを得た.なお,この時SO_2Clのみを溶媒とするとM-OBTCPPが分解することがわかった.(7)M-OBTCPP固定化シリカゲルの調製:(5)より調製した酸クロライド体M-OBTCPPClをジオキサンに溶解させ,(2)の方法でシリカゲルに固定化し,目的のM-OBTCPP固定化シリカゲル(M-OBTCPP_D)を得た。固定化量の調整は,吸光度の測定より行い,最終的に得られた濾液には,金属ポルフィリンによる吸収は観測されず完全に固定化された.以上のように平成20年度の目標は達成できた.
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